本日『根の深い木』観了。
先日、今年観た韓国ドラマの総まとめを書いたのだけど、その時にはまだ『根の深い木』は半分くらいのところだったんだよね。
で、その時には『馬医』と『恋人』を推しと書いた。
今日『根の深い木』を観終わってみて、これを加えて今年のBEST3にしたい。
『根の深い木』は朝鮮王国の歴代王の中でも評価の高い、第4代国王・世宗(セジョン)の話。
この王はハングルの創設者で、このドラマではハングルを世に出すまでの苦難がフィクションを交えて描かれている。
それまで朝鮮王国では中国から来た漢字を用いていたのだが、識字率は当然低く、高い身分の人しか読み書きできなかった。
低い身分の民は、自分の主張を訴えることはできないし、言われるままに働き、重税を課せられ、貧しい生活を強いられていた。
知識を得られないため、病気なども蔓延しやすいということもあった。
そこで世宗は民のために、朝鮮に則した独自の文字の開発に乗り出す。
それは、数千字を覚えなければならないという漢字と比べると遥かに少ない、たった28文字だった。
発話の『音』を元に作られたその28文字を組み合わせれば、話し言葉すべてを書けるのだ。
それまで、朝鮮には中国語にはない発音があるために自分の名前すら漢字で表すことができないこともあったが、この文字『訓民正音(フンミンジョンウム)』の誕生で自分の名前を表すことができるようになったのである。
最初に韓国時代劇ドラマを見た時に、「へえ、韓国って初めはハングルじゃなくて漢字つかってたんだ~」って思った。
ご飯茶屋みたいな店に「酒」と書かれた提灯がぶら下がっていたりして、とても親近感を覚えた。
なので、ハングルを作った王のことは、「この人が作ったのか~」くらいしか思わなかったのだが、このドラマを観て、とても大変なことだったんだと初めて知ることになる。
大国中国(明)との関係もあって、小さな国である朝鮮が自国の文字を持つということが外交的に大変であったのは、『大王世宗』を観て知っていたのだけれど、朝鮮国内で反対する勢力があることに最初は驚いた。
しかし、身分の低い民が文字を読めるようになることが、高い身分の人の特権を侵害することになるのは、ちょっと考えればわかるわね。
それに朝鮮は儒教の国であるから、漢字・漢文で学ぶ意義を尊ぶ人たちからは当然受け入れがたい。
それに加えて、「密本(ミルボン)」という「王を中心とした政治」に反旗を翻す秘密結社も加わって、ドラマは波乱万丈となるのだ。
このドラマを観る前に、『六龍が飛ぶ』を見ることは必須。
グッと理解度が深まるから。
カン・チェユン(トルボク)とソイ(タム)の最後は悲しかったな。
ハッピーエンドであってほしかったと痛切に思う。



